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「日米の良好な関係を維持・強化することが、世界の平和と繁栄のためにも重要である」という美化した表現のもとに、日米安保体制の欺隔的な再定義、対米従属のもとでの日本の独占的大資本の地球的規模での飛躍がねらわれている。 「バブル経済自体が日本経済の行き詰まりを示すもの」とそれ自体はまともな認識を示しながら、しかし対応となると大資本本位のプログラムが提起されている。
つまり、「第一に、中長期的な観点から日本経済の体質を歪めている構造的問題の改革に取り組むこと、第2に、当面の不況から抜け出すための短期緊急の対策が必要になる」として、中長期的については、規制緩和、行財政改革など従来の主張が繰り返されている。 緊急対策としては、積極的な金融・財政政策や、協調介入による円高是正が指摘されている。
具体的な起爆剤として、「住宅問題の解決に焦点を当てた景気回復」が強調されているが、そのためにも規制緩和が必要だと規制緩和が魔法の杖のごとく扱われている。 物価を下げよ、ともいっている。
その主張は結構である。 問題はその主張のウラである。
第一に、日本の物価高の原因を農産物・公共料金・サービス関連などの「低生産性」分野に求め、これを規制緩和で「改革」すべし、としている。 ねらわれているのは、低生産性部門の切り捨てであり、規制緩和路線の正当化であり、結局、「構造改革」の推進にほかならない。
第2に、賃上げではなく、物価の引き下げで労働者の生活改善を図るべきだ、という年来の日経連の主張を含意したものになっている。 物価引き下げによる生活改善は労働者も望むところであるが、この主張のねらいは、「日本の賃金世界のトップレベル」論と結合した賃金抑制にある。
「民間主導」について、「これからの経済政策、産業政策は、民間に任すべき領域を大きくし、民間主導で運用する姿勢が重要である。 小さい政府の延長線上でものを考えることが望まれる。
当然ながら規制の緩和・撤廃、行政改革がその大前提である」と従来の主張が繰り返されている。 これとの関連で、「政府の役割の基本は、民間が仕事をしやすいように企業環境、産業基盤を整備することにある」と注文をつけている。
この文章中の「民間」を「独占的大資本」と読み替えると、そのねらいがはっきりする。 政府の役割の基本は、大資本が仕事をしやすいように、つまり利潤の極大化に役立つように、条件整備をすることである。
こう「報告」はいいたいのだ。 「小さな政府」を要求したはずの「報告」が、一方ではバブル崩壊後、巨額に達した「住宅金融専門会社」の不良債権問題に言及し「公的資金の活用」を政府に迫っている。

このように自己の都合で政府は「大きく」なったり「小さく」なったりすべきもののようで、これが実は財界の「政府の役割」論の本音なのだ。 例の「新日本的経営」論がベースになっている。
対象も、一雇用・労働市場、人事・賃金管理、中小企業、高齢者や女性人材、そして教育といった広範な領域にわたっている。 だがここでは、春闘と直結した「一雇用・労働市場」論と「人事・賃金管理」論にしぼって検討する。
生産拠点の海外移転が産業空洞化を生み、産業構造改革が就業構造の変化をともない、これが一雇用問題を深刻にしていることを認めている。 そして、そのような「雇用不安の回避が今後の政労使の最重要課題である」と強調している。
これへの対応として、まずは「産業の再活性化と新規事業開拓、新分野の発掘が必要である」と述べているが、それには「時間がかかる」ため、「労働市場において、労働移動の円滑化を図る枠組みを早急に整備しなければならない」として、労働力の流動化(雇用の流動化)を最大の雇用対策とみなしている。 その労働力の流動化を促進するには、「労働力の移動にかかわるシステムの大幅な規制緩和・撤廃(民営職業紹介、労働者派遣等の原則自由化)、人材需給情報の充実などが必要である」として、ここでも規制緩和が叫ばれている。
たしかに「報告」は、「一雇用不安の回避」を強調しているが、その内容は決して従来の意味で雇用を守るということではない。 流動化で雇用が守られるというもので、要するに労働省などもいう「失業なき労働移動」の促進なのである。
状況の変化も顧みず、特定の産業・特定の企業にしがみつくから失業するのだ、労働条件がいくら悪くなっても、さっさと次なる職場を率先して探せば失業しないですむこれが財界や政府の「雇用不安の解消策」の思想なのだ。 まず、「人事管理面において、「人間中心(尊重)の経営」という理念を実現するためには、社員個々人の主体性を尊重する中で、企業・職場全体を活性化させるシステムが目標となる」という。
要するに「人間尊重」とは「能力主義管理の実践」である。 資本が労働者のニセ「自主性」を引き出し、最大限の搾取をしてあげることこれが「人間尊重」である。
そのような「人間尊重」の実現のためには、「今後は長期雇用を一つの柱に、新しいタイプの雇用形態を組み合わせて人事管理を行なっていくことになろう」と述べている。 これは1995年5月発表の「新日本的経営」論の中心部分である。
3つの雇用形態(グループ)に分け、第一(長期蓄積能力活用型)グループは「長期雇用」の可能性が高いが、第2(高度専門能力活用型)グループや、第3この最終章のタイトルは「今春季労使交渉のあり方合理的な賃金決定をめざして」である。 多少くわしく検討しよう。

(雇用柔軟型)グループは契約制であり、きわめて雇用の流動性が高くなる。 日経連は、今後、大半の労働者をそのような流動性の高い労働者にしていく戦略である。
そのねらいは明白で、第一に人件費の大幅な抑制、第2に強いインセンティブによる労働の効率化(労働強化)、第3に労働者の個別化このことは「昇給制度」についても同様で、「ある一定の時期に全員を対象に賃金が上昇する仕組みでなく、一定資格以降は能力・業績の個別評価によって賃金が決定される運用を図るべきであろう」と述べ、流動化促進効果を期待している。 ここで「報告」は、「賃金・退職金制度については、年齢・勤続要素偏重の年功的制度を改め、能力・業績を反映する仕組みへの切り替えが求められる」と強調している。
右の3つのねらいがここにも当てはまるが、いま一つそこには、労働力の流動化促進という大きなねらいが存在する。 つまり、長期勤続に有利な賃金・退職金制度を崩して、労働力の流動化を加速させることが意図されている。
いつものことだが、「報告」はまず、円高により日本の「賃金水準は世界のトップレベル」と強調している。 したがって「これ以上の賃金コストの上昇は、国際的な競争力の喪失につながり、現実化している産業空洞化が一層加速しかねなどと、これまた年来の主張を繰り返している。
同時に、「このような情勢下では、雇用の維持・安定が労使間のみならず、わが国全体の最重要課題であり、基本的にはこれ以上の賃金引き上げは困難である」と、クギをさしている。 ここで問題なのは、第一に、(いま円高で産業空洞化がすすんでいることは事実であるが)なぜそうなったかである。

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